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のぎしょうぐんのおはなし

先日乃木神社のお話を書きましたが、
それがきっかけで思い出したことがあります。

今でこそ、この山口県にすっかりなじんでおりますが、
私の両親は、共に九州出身でして、
自身も長崎県佐世保市の生まれです。

他県出身でありながら、
乃木将軍は身近に感じられるのには、
理由が二つあり、
両方共に、私の母が関わっております。

ひとつは、幼少の時縁側で教わった
お手玉の歌
『日列談判破裂して~♪日露戦争始まった~♪』に
乃木将軍が出てくることでした。

月岡芳年 金時山の月


大きくなって知ったのですが、
クロパトキンと東郷元帥が本当だったようですね。
しかしうちではなぜか、”の~ぎ~将軍♪”で習いました。
歌詞を見ると、歌の出だしが陸軍の話なので
母が勘違いしたのか、替え歌かなにかではないかと思います。

もうひとつ、もっと鮮烈な記憶として残っているのは、
好き嫌いする度に
母が私にしたお説教です。

それが乃木将軍のエピソードだったんですね。

「昔昔、乃木将軍が子供の頃のある日、希典少年はネギを好き嫌いしました。」

「すると、希典少年のお母さんは、毎日ネギを使った料理を食卓に上げ、
無理やり食べさせました。」

「決して残す事を許さない、お母さんの躾で、
希典少年は、偏食を無くすことができました。」

というような内容でした。

それに、

「ネギにはとても栄養があって、
食べると記憶力が良くなるから
残してはダメよ。」

と、よく付け加えて言ってましたね。

つまり、うちの母の躾も乃木家と同じだった訳で、
泣く泣く食べさせられた結果、
現在では、美味しくいただけるようになりました。

偏食を無くす躾は、
子供によりけりとは思いますが、
私のためをに手を掛けてくれた母には、
本当に感謝しております。

そんなこんなで
乃木将軍は私にとって
なんとなく懐かしい、慕わしい方だったのですが、
その乃木神社の宮司さんの奥様と
知遇を得ることができまして、
本当に不思議な御縁を感じたものです。


先日つい、奥様に将軍の好き嫌いの躾の話をしましたところ、

「ネギではありませんね。」
えっ?

「それはにんじんの間違いです。」
ええっ?

×ネギ
○にんじん


きっと、母は
”のぎ”からの連想で、
にんじんと”ネギ”記憶違いしてしまったのでしょうね。


・・・・・お母さん!ネギ食べなきゃ!


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鎌は語る・・・ような気がする 

私が住んでおります山口県西部は、
皆様ご存じかと思いますが、昔は長州藩といいました。

勤皇派の主軸であったため、幕末から明治にかけて、
ご活躍された方を多く輩出しておりますが、
その中の一人に 乃木希典将軍 がいらっしゃいます。

日露戦争でのステッセル氏との会談や、
明治天皇へのご夫妻での殉死等
今を生きる私達にも、至誠の方でいらしたのがうかがえます。

今や、乃木坂46の聖地といわれるようになった
東京港区の乃木神社や、京都、栃木等、
いくつも祀った神社が存在するのは
そんなお人柄を偲んでのことなのでしょう。

もちろん、下関市のご生家の跡地にも、
とても素敵な神社があります。
見事に黒々と聳える木々が御社や参道を覆い、
箒の跡目も清々しい佇まいは、
誠実な将軍にふさわしい趣があるかと思われます。

乃木神社

敷石どおりに奥へ行くと、生家と、
乃木家所縁の遺物や、コレクションされていらした石等が
展示されている史料館が二つ並んでいます。

史料館の中には、なぜこれが展示してあるのか
不思議に感じられる方も
おいでなのではないかと思うのですが、
赤穂義士の一人である、杉野十平次さんが討ち入りの時、
持っていらしたという鎌があります。

杉野十平次さんは、講談などでお蕎麦屋さんに変装して、
吉良邸の動向を探った、という役回りを与えられて
いる方です。

本懐を遂げた後、切腹までの期間、
長州藩お預けになられており、
その際、藩士に譲られた鎌を
乃木将軍のお父様が手に入れられたというのが、
今こちらに展示されている由来だそうです。

じっと鎌を見つめていると、
乃木将軍と杉野十平次さん、二人の忠義心が、
ただの道具にすぎない1丁の鎌によって、
結び付けられて感じられて、
胸をつかれるような気持になります。

説明書きには、箱書きを乃木将軍が書いたとしか
ありませんので、拝観されても
いきさつをご存じない方も
いらっしゃることでしょうね。



鎌

鎌の実物を見てみると、
片刃ではありますが、厚みがあり、
草刈用というよりは、小枝や笹が落とせる
桑鎌、木鎌のように柄が長く、
刃が短いものです。

お侍さんですから、
武器としてではなく、外から雨戸を開けるために
打ち入りに持って行ったのかもしれません。




私が所属する一貫堂では毎回、杖術を2時間の他、
居合1時間教えていただいておりますが、
希望者にはその後、付属武術を1時間教えていただけます。
鉄扇、十手、短杖、柳剛流杖術等、色々ありますが、
一心流鎖鎌術の稽古もしております。

鎖鎌は両刃の鎌に鎖、その先端には分銅も着いていて、
飛び道具的な要素も含めた、
なかなか凶悪な武器ですが、
あれこれ用途が異なるものが
一つの中に混在しているが故に、
操作性の面白さが際立っているように思えますね。

私たち武器遣いは、
杖、太刀、鉄扇、十手、鎖鎌と、
道具それぞれの特性を知り、
威力を存分に引き出し、効果的に用いようと
励んでいるのだと思います。

ですから、自らの習熟度をあげなければ何もならないと
思ってはいても、より良い道具への憧れは否めません。

乃木神社の鎌は、そんな私に
”道具はね、使う人間の方が肝心なんですよ”
と、静かに諭してくれているような、
そんな気がするのです。

拝観料は各々の志で
構わないというおおらかさですし、
もしお近くにおいでの際は、
直にご覧になってみませんか。

何も聞こえなくても
クレームは受付ませんけど。

あ、「砥いで」って聞こえました?
案外それが、正解なのかもしれませんね。

きっとまだ立派に使えるような気がしますよ。







プロフィール

杖禅如水

Author:杖禅如水
岩目地光之一貫に弟子入りし、杖術、居合を学んでおります。

所属は日本杖術協会下
山口県杖術協会です。

下関の片隅にあります一貫堂系『如水館』代表として、個性が豊かな(過ぎる?)皆さんと共に隣県福岡黒田藩ゆかりの杖術を稽古しております。

【如水館】
場所:下関市王喜公民館講堂
曜日:毎週木曜日
時間:19:00~21:30

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